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​​バンクーバー日記は2013年8月に62便にて終了いたしました。ご愛読いただきありがとうございました。
アメリカ・ウィスコンシンへと場所を移し、「マディソン日記」を連載中です。

第60便 初夏、日本

6/17/2013

 
5月から一ヶ月間、アメリカのビザ申請や各種手続きのために日本へ帰っていました。
せっかくだからということで、これから始まるアメリカ生活にむけての健康診断として
人間ドックも受けてきました。その他にも目の検診、歯の検診、先日ケガした膝の検診などなど……
結果は全て良好で、とりあえずは無事にスタートが切れるという事でホッとしました。
 
健康診断の他にも、いろいろな証明書を取りにいったり、日本からアメリカに送るものを選別して引っ越し
業者にお願いしたりと、本当に慌ただしい毎日。その合間を縫って懐かしい人に会いに各地を訪れました。
終わってみればあっという間の日本滞在。忙しかったものの、緊張感のある充実した滞在になりました。
 
前回帰国した時は冬だったので気がつかなかったのですが、今回は初夏です。
いわば命の息吹に満ちあふれる時期に帰ったわけですが、バンクーバーとの違いに心底驚きました。
まずなんといっても生き物の多さ!
もう圧倒的です。
そこかしこにハチやアブ、チョウ、バッタ、ミミズにカエルにカタツムリ、カミキリムシやらイモムシやらガやら
フナやらトンボやら、ちょっと玄関を出て歩いただけでこんなにも多くの生き物に出会えます。
毎日娘と散歩してもテントウ虫1匹を見つけるかどうかというレベルだったバンクーバーに対し、
この命の豊富な事といったら!
それまでどちらかと言うと外より部屋で遊ぶのが好きだった娘はそれはもう大喜びで、毎日のように外に出ては
虫と追いかけっこ、心底楽しそうでした。
いつの間にか慣れていたバンクーバーの美しいけれど静かな夏。でもここに来て再び思い出しました。
やっぱり僕は生き物の気配にあふれた賑やかな日本の夏が好きだと。
 
それから森の様相も大きく異なっています。
バンクーバーの青いすっとした針葉樹の森に対し、もこもこもりもり、まるで湧き出てくる雲のように所狭しと
生い茂る樹々。それらがいろんな緑を伴って、まるで巨大なブロッコリーのような森をかたち作っています。
樹をひとつ見ても、バンクーバーの樹が葉っぱ同士に十分なスペースがある(言い方を変えれば隙間が多い)
のに対し、こっちのはみっしりと分厚く密集しています。
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バンクーバーの森
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日本の森

一人一人のパーソナルスペースが広く、人も物も大きくて物静かなバンクーバーの街。
どこに行っても人に溢れて、狭い土地の中でぎゅうぎゅうにもみ合いながらエネルギーを作り出す東京。
森も虫も、まるでお互いの国を表しているみたいです。
 
でも僕はこの不規則な森を見ているだけでワクワクしてしまうのです。
いろんな樹々の集積が、恐竜に見えたり城の城壁に見えたり……
雲にも見えるし街にも見える。
所々開いた隙間は昼だというのに真っ暗で、その中には何かただならぬ気配がぷんぷんする。
この森や生き物だけをただひたすら描いてみたいとさえ思います。
 
 
バンクーバーでの2年間は、どこかおとぎの国にいるような気がして、その美しさに毎日感動を覚えていましたが、
今回日本に帰ったことで、その暑苦しくて雑多で、賑やかさに溢れたこの場所こそが、「オラの国だ~!」と
叫びたくなりました。
静かで美しいバンクーバーの自然はもちろん好きだけれども、やっぱりよそ様の土地だなや~
なんだかんだ言っても、やっぱりここがしっくりくるべぇ~
と。

コメントの受け付けは終了しました。

    Author

    池田 学(いけだ まなぶ)
    画家。1973年佐賀県多久市生まれ。98年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。2000年同大学院修士課程を修了。 2011年1月25日より1年間、文化庁の芸術家海外研修制度でカナダのバンクーバーに滞在。バンクーバーへは、奥さんと2歳の長女も同行。2012年3月に再渡航。2013年夏にはアメリカ・ウィスコンシン州マディソンに場所を移し、美術館で滞在制作を開始。

    『池田学画集1』 
    ミヅマアートギャラリーの作家紹介

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