1月9日に文化庁の研修期間が終わり、翌日帰路へ。 そして2ヶ月を日本で過ごし、3月初旬に再びバンクーバーに帰ってきました。 日本での2ヶ月は慌ただしかった。 限られた時間内になすべき事が山積みで、ほとんどゆっくりすることができなかったような気がします。 今回帰国の大きな目的は二つ。 一つは前回で触れた、被災地を見に行くこと。 そしてもう一つは就労ビザを取得すること。 バンクーバーでの生活が気に入った僕は、滞在を延長し、ここで大きな絵を描くことに決めました。 期間は3年。が、そこはカナダ。 外国人である僕が気に入ったからといって簡単に住めるわけではありません。 住むために必要なビザがいるのです。 外国人がカナダに滞在するためのビザは数種類あり、主に観光ビザ、学生ビザ、就労ビザ、 そして究極のカードは移民。 ちなみに去年は文化庁からの研修員ということで、特殊な学生ビザを持っていました。 観光ビザを除いて、申請にはそれぞれに必要な書類や証明書があり、監査官の厳しい審査の後、
合否の通知が届くという仕組み。 特に就労ビザ、移民はチェックも厳しく、結果が出るまで数ヶ月から数年かかるというまさに狭き門。 僕の場合は絵の制作、そして滞在は3年間という希望から「自営業」というカテゴリーの就労ビザを 申請するのが一番と、申請コンサルタントの人と話し合って決めたのが10月。 それから履歴や作品ファイル 、事業計画や収入金額などなど、数えきれないほどの書類を集めて 申請書の作成に約2ヶ月。 中でも気を使ったのはその滞在理由の説明。 普通就労ビザとは、どこかの組織に属してそこから給料をもらって生活するのが一般的。 僕の場合は自営業といっても内容は日々絵を描くだけなのでその間収入があるわけでもなく、 なにをもって就労というのかが非常に難しいところ。 言ってしまえばスケッチ旅行とあまり変わらないわけで、そんな外国人に果たして就労ビザを 与えるのか? カナダに住んで作品を描きたいというだけでは「それは自国に帰ってやってください」 という事で却下されるのは目に見えているので、 僕の滞在が金銭的にはあまり利益を生まないにしても、芸術に関してはいかに貢献度が高いかを 文化的側面から言及しました。 なにしろ監査官にとっては僕がいかにカナダに利益をもたらしてくれる人物か、 それだけが最大の判断基準なのだから気恥ずかしいなんて言ってられません。 それらの文面をコンサルタントに渡し、修正、英訳してもらい年末に全ての書類が完成。 日本に帰り、翌日には東京のカナダ大使館に書類を提出。 そして待つこと約1ヶ月。 通知が届き、開けた結果は「NO」でした……。 却下……。 判断理由は、「3年間の作品制作がカナダに利益をもたらすとは思えない為」 という事でした。 まさか却下されるとはコンサルタントも思っていなかったほどの予想外の結果に しばし茫然自失。 やはり金銭的貢献が低いのがネックなのかもしれません。 残念ながらカナダで3年間作品制作という道は絶たれてしまったわけですが、 まだ終わったわけではありません。 家財道具を置いてきているので一旦バンクーバーへ観光で入り(観光なら日本人の場合 6ヶ月まで滞在可能。さらに延長申請すればプラス6ヶ月延長できる)、 そこで次にどうするかを考えるつもりです。 そうして全く先が見えないまま僕らは再びバンクーバーに降り立ったのでした。 はてさてどうなることやら…… コメントの受け付けは終了しました。
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Author池田 学(いけだ まなぶ) Archives
8月 2013
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