夏のことになりますが、8月にカナディアンロッキーに車で行ってきました。 途中の街でテント泊をしつつの5泊6日の長旅。 バンクーバー近郊でも十分絶景が楽しめるので、わざわざカナディアンロッキーまで行かなくとも。。 という気がしてたんですが、聞く人聞く人みんなが口を揃えて「あそこは別!」と言うので百聞は一見に如かず、 行ってみることにしたのでした。 バンクーバーを出発すること6時間、周りの景色が変わり始めます。 なだらかな丘のような風景が増え、天候も照りつけるような青空に。 少し内陸に入っただけで完全に乾燥地帯です。 同じブリティッシュコロンビア州なのにこうも気候が違うのかと驚きながら今夜はここで1泊。 翌日も再び内陸へと向かいます。 やがて周りの山々が険しい岩山へと変化し、針葉樹の広大な森が見え始め、 氷河から流れ出たアイスブルーの湖に雄大な川。 おおこれぞカナダ!(おそらく皆さんが想像する通りの風景で間違いないと思います)というエリアに入ると もうそこはカナディアンロッキー。 た、確かに違う! バンクーバーの雪を抱いた雄大な山々と海も確かにすごいが、こっちはもっと接近してるというか、 雄大な自然の懐に抱かれてるという言葉がぴったりの、あたり一面の大自然。 見上げるような岩山のスケール感に興奮し、果てしなく広がる針葉樹林にはその空間の深さに恐怖を覚えるくらい。 無造作なほど飛沫をまき散らしながら落ちてくる滝や、そこかしこで見かける熊や鹿などの動物。 エメラルドの湖は絵はがきのように完璧な構図で山と森を演出し、綺麗すぎる風景に普段あまり惹かれない僕も 思わずシャッターを押してしまいます。 しかし中でも一番新鮮だったのは山と空のコントラスト。 白っぽく乾いた色味のグレーの山と青空の組み合わせは、緑の山肌に慣れている僕にとってはとてつもなく新鮮で、 見ても見ても見飽きないものでした。 日本ではほとんどの場合、山は樹々の緑によって空より色味が暗い、岩山にしてももっと岩の色が濃いため、 山の方が暗く見えるものなんですが、ここではその岩の白さのせいで逆転していて、時間帯や天候によっては ほとんど同明度になるため、シルエットが明度ではなく色相で見えてくるのです。 その絶妙な色味といったらもう! 刻々と変わるその色味に見とれ、ある時はため息をつき、ある時は声を上げ。 横にいる妻にその感動を伝えるべく熱弁を振るいましたが返ってきた言葉は「ほんとだねぇ」でした。 絵を描く者にとってはこういう意表をつく常識の破られ方はものすごく戸惑い、かつ面白いものなのですね。 いやはやしかし、ロッキーの景色は確かに素晴らしかった。
やはり写真で見るのとその空間にいるのとでは圧倒的に違います。 ここのようにスケールを売りにしているような場所ではなおのこと。 本当に行って良かったですし、作品の為のいい取材にもなりました。 でも数ヶ月経って 頭に浮かぶのはあの空と山の色。 僕がロッキーからもらってきた貴重な宝物です。 コメントの受け付けは終了しました。
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Author池田 学(いけだ まなぶ) Archives
8月 2013
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