テント生活も3日を過ぎ、僕らの車はどんどん南下していきます。 アメリカには本当にたくさんのキャンプ場があります。 特に僕らが利用したstate park という州立のキャンプ場は、設備も行き届いていて快適この上なく、値段も手頃。 スペースも広く、ほとんどの利用者はキャンピングカーで快適なアウトドアライフを楽しんでいます。 キャンピングカーも様々で、日本で見かけるコンパクトなものから完全にバス!というサイズのものまで。 中を見せてもらったらベッドからキッチンまで完備されていて、家そのものでした。 しかもそれらを普通免許で運転できるというから驚きです。 驚いたことがもう一つ。 それはキャンプ場のモラルが徹底していること。 どんなに騒いでいても夜10時をまわるとピタリと音がしなくなります。 皆一斉に寝たのかと思いきや、よく見るとテントや焚火の周りで静かに話しています。 もちろん花火などをやる人はいません。 こちらでは何につけても個人のスペースというかテリトリーを大事にします。 法に触れたり迷惑をかけない限りは何をしても自由。 だから逆に自分のテリトリーを侵されるとかなり怒るのです。 お互いを尊重しあってこうしたルールが守られているのはとても気持ちがいいものです。 子供からお年寄りまでたくさんの人がいるにもかかわらず、皆当然のこととして行動していることからも、 アウトドアというものがしっかりとした文化として根付いているということがよくわかりました。 さて車はオレゴンとカリフォルニアをまたぐレッドウッド国立公園へ。 ここは巨大な樹木群で知られています。 種類はスギでしょうか。 森の景観はバンクーバーや屋久島で見るのとさほど変わりませんが、車で中に入っていくと 巨大さもさることながらその高さに圧倒されます。 林の中から上を見上げれば、まっすぐな幹のはるか先に緑の枝葉。その隙間から覗く真っ青な空。 鮮やかすぎる太陽に目がクラクラします。 鬱蒼とした森に佇む屋久島のいびつな形の大木も好きですが、明るい森にドンと構えたジャイアントツリーは 地面からダイレクトに伸びる高度感がスカッとするほど気持ちよく、これぞ巨人の樹!という威容でした。 カリフォルニアに入ると周りは一変、真っ青な空と、低い樹木群。 山の色も黄土色になり、明らかに乾燥してきました。 海も暖かなエメラルドグリーンに変わり、母なる海といった言葉がぴったりの柔らかい波の中から 時折親子のクジラが顔を出します。 とにかく何につけても大きなアメリカ。 この広大な国土を走り、巨大なものに包まれていると、考え方までもがおおらかになるような気がします。 しかしだからこそ、逆に自分の作品のような細かくて密集した世界も意味を持ってくるのだと思います。 小さなものを描くために大きな世界を知れたことは、この旅の大きな収穫になりました。 コメントの受け付けは終了しました。
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Author池田 学(いけだ まなぶ) Archives
8月 2013
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