ここでは車の運転にも細心の注意が必要みたいです。 できれば不慣れなこの土地での運転は避けたいところですが、かといってこの坂じゃ 自転車や徒歩もかなり辛い。そこで強い見方になってくれるのが路面電車。 主要な通りを結ぶこの情緒漂う乗り物は、利便性のみならず観光的にも大きな役割を担っていて、 それがサンフランシスコをアメリカでも個性を持った街のひとつに仕立て上げているようです。 街並みは小綺麗で良く整備され、通りを歩く人々も実に多様。 バンクーバーは移民の都市ですが大きく分けるとカナダ人と中国人が占めるのに対し、ここは完全に多国籍。 ヒスパニック系もいればインド系やアフリカ系などの人も多く、都市から感じられる熱気と活気が全く違います。 またそれだけにファッションも多彩で華やか。 バンクーバーの地味な色合いにいつのまにか慣れてしまっていた目には鮮やかすぎて痛いくらいでした。 チャイナタウンはじめ各国の料理も豊富に揃い、食材も地元カリフォルニア産の新鮮で美味しいものばかり。 ユニクロや無印良品など、日本系の店も多くあります。 とにかくいろいろな意味でバンクーバーをひと周りもふた周りも大きく、明るくした印象。 バンクーバーの落ち着いた雰囲気も好きですが、ここも負けず劣らず魅力的な街。 こちらで出会った知り合いの多くがサンフランシスコに住みたいと言っていましたが、 その理由がよくわかった気がします。 サンフランシスコで都市の刺激をもらい、3日間楽しんだ後は再びトランクに荷物を積み込んで いざ再びのバンクーバーへ。帰路は内陸側のハイウェイをぶっ放します。 内陸の景色は行きよりもさらに乾燥していて、これぞまさにロードトリップ!といった印象。 もし自分が小さくなってライオンの毛並みの中を歩いたら、肩やお尻の筋肉の盛り上がりは きっとこういうふうに見えるんだろうな…… 車窓から広がる金色の丘を眺めながら想像はどんどん膨らみます。 草原に、トゲトゲした低い灌木。砂や石混じりの山肌からは、ところどころにオセロの駒を まばらに拡げたような円盤状の植物。 何もない平原にただ真っすぐに伸びている一筋の道。 身体全体で感じる果てしない空間感。 モーテルやキャンプ場で宿泊しながら走ること2日、オレゴン州の都市ポートランドを過ぎ シアトルまで来たらもう、家に着いたようなもの。 去年はあんなに不安だったこの街が一転して懐かしく感じるとは、人間の順応性に驚きます。 ただ僕たちは忘れていました。 この先に最も厳しい難所があることを。 そう、毎度おなじみの国境です。 コメントの受け付けは終了しました。
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Author池田 学(いけだ まなぶ) Archives
8月 2013
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