ウィスコンシン州のマディソンという街にあるChazen Museum (チャゼン美術館)から アーティスト・イン・レジデンスのオファーがあったのは初夏も終わり、 先の見えない状況に疲れ始めていた頃でした。 アーティストインレジデンスとはアーティストをその施設なり街に一定期間招聘し、滞在して作品を制作、 その様子を公開したり展覧会を行う等の文化交流を通して地域の活性化をはかる事業の一つで、 期間もレジデンスによって数週間から数年までとさまざま、施設も世界各都市にあって、 世界中からいろいろなアーティストがこの制度を利用して作品制作を行っています。 今回の僕の件は、チャゼンミュージアムの館長さんが去年のニューヨークでの展示を見て 興味を持ってくださり、声をかけてくださったのでした。 僕にとっては全く想像もしていなかった話なのでありがたい反面、不安もあったのですがこれも縁です。 チャンスは常に予想もつかないところからやってくるとも言いますし。 制作場所も美術館の一室を提供してもらえるのでスペース的にも全く問題ない上、 滞在期間も今回の大作が完成するまでいてよい! ということ。 他にもいろいろと好条件で、考えれば考えるほど断る理由が見つかりません。 そこでまずは下見と挨拶もかねて一度現地に行ってみようということになったのでした。 マディソンはウィスコンシン州の州都で、ウィスコンシン大学の学園都市としても知られています。 街は綺麗で穏やか。治安もいいようで全米で一番住みたい都市に選ばれたこともあるそうです。 周りは広大な平原で、いくつかの大きな湖に囲まれています。 気候は過酷で、夏は暑く冬は極寒(-20度にもなるとか。) チャゼンミュージアムはウィスコンシン大学の敷地内にあり、旧館と去年新設された新館を 合わせた大きな美術館で、全く想像していなかったその規模の大きさにまずは驚かされました。 館長さんは僕らが滞在した3日間つきっきりで案内してくださり、このレジデンスの話も含めて とても熱い思いが伝わってきました。 僕のスタジオは美術館の一室に設けられる予定で、ここで数年間、毎日絵を描くのかと思うと 不安と楽しみで胸が高鳴ります。 僕の好きな山や川はここにはありませんが、この2年間カナダで取材したたくさんの経験や記憶を 絵に込めるには、ある意味で禁欲的なここは格好の場所なのかもしれません。 これからお互い交渉を進めて、早ければ来年の春からこちらに拠点を移すことになりそうです。 コメントの受け付けは終了しました。
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Author池田 学(いけだ まなぶ) Archives
8月 2013
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