3. 11の震災以降、ずっと考えていました。 日本のこと。 これまでの日本。 日本のこれから。 そして自分には何が出来るのか。 皆がこの命題に取り組んでいるのが分かります。 各方面でいろいろな支援の輪が広がっています。 僕自身、いや、おそらく海外に住む日本人は皆、遠く離れた場所にいて、余震や放射能の 恐怖など全く関係ない生活をしていることが申し訳ないような、はがゆいような 気持ちで一杯だと思います。 僕も出来ることなら自分も日本に駆けつけて、支援活動をしたい。 ボランティアとして汗を流し、皆を励ましたい。 日本にいて、思いを共有してひとつになりたい。 そんなこと、海外からのセンチメンタルな感情論だと言われればそれまでかもしれません。 おそらく現実は想像を絶するものだろうし、 素人が感情にまかせて被災地に行ったところで、何もできないどころかかえって活動の妨げに なる事だってあるのも分かっています。 けれど何かしたかった。 しかも今すぐに必要な、即効性のあるもので。 ニューヨークで、ギャラリーのオーナーに言われました。 君のやるべきことは絵を描くことだ。 日本では多くの人がこれから復興に向けて汗を流す。 君が現地に行って汗を流す必要はない。 君は頭の汗を流すんだ。 アーティストとして一生懸命考えるんだ。 作品によって人々を勇気づけ、日本という国を世界に見せつけることが アーティストである君の使命だ。 この言葉が、頭から離れません。 現時点で、被災地にアートは必要ないと思います。 そんなものより、一杯の水、一枚の毛布かもしれません。 けれど2年後、3年後、心にゆとりが出てきたら その時こそ僕の支援ができるのだと信じて、僕もこれから描き始めようと思います。 今すぐには何も出来ないけれど、後から出来ることもたくさんあるはず! 思えば今回の地震がなかったら、あそこまで大きくニューヨークタイムズに 取り上げられなかったかもしれません。 この地震で日本のアートの方向性も大きく変わるかもしれません。 そういう意味では、大きな転換期にこの展覧会に参加することができたのも、 アーティストとしては大きなチャンスだとも思えます。 いつまでも悲しんでばかりはいられません。 やるべき事は見えました。 復興への日々が始まります。 コメントの受け付けは終了しました。
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Author池田 学(いけだ まなぶ) Archives
8月 2013
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