女川中学校は町役場の仮設庁舎から歩いて数分の距離です。 私は駐在中、仕事帰りの夕方によく学校へ立ち寄りました。 2013年7月。気温21度の涼しい夕方でした。
その日の仕事を終え、防災担当の敏郎先生をお訪ねします。 放課後の教室で先生はジャージー姿の3年生4人と話していました。 机には紙の束。3年生全員から集めた碑文の案です。石碑には三つの文を刻むことにしました。①自分たちが国語の授業で作った俳句②未来の防災につながる一言③石碑を建てるきっかけや自分たちの願いをこめたメッセージです。 4人は記録班です。 委員長の智博君がいます。 真向いに班長の由季ちゃんが座ります。 班長の左右には、愛梨ちゃんと美紀ちゃん。 愛梨ちゃんは「世界防災閣僚会議」で大役を果たした生徒です。 美紀ちゃんは町の離島、出島で育ち、避難のために島を離れざるを得ませんでした。 班長の由季ちゃんはノートとペンを手に書記も務めます。 そのノートを見ながら、敏郎先生が指摘します。②の一言について。 「『千年後の命のために』。いいと思う。救うためか。守るためか」 授業では国語を教えている先生の問いかけに、美紀ちゃんがすぐさま答えます。 「『救う』は違うと思う」 先生が笑いながら促します。 「ここで言いたいことを言わなかったら、千年間、悔いを残すぞ」 |
Author小野智美(おの さとみ) Archives
3月 2019
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